CB1100F E/Gフルオーバーホール Vol’2

日に日に寒さも厳しくなってきて『鍋』が美味しく頂ける季節になりましたね。

最近はスーパーに行くと色々な『鍋の元』が売っています。

先日は『トマトすき焼き鍋』なる物を発見しました!!

ちょっと買うには勇気がいるのですが、今季に一度くらいは試してみようかと

思っている菅野です。

さてさて先日、Vol’1(CB1100F E/GフルオーバーホールVol’1はコチラ)を読んで頂いた方々には

待望の(そう信じてます。)Vol’2です。

読んでいない方は今スグVol’1をクリックしちゃってください。

では、どうぞ・・・

Vol’1では全バラになって続く・・・となっていましたが

ここからは各部のパーツ交換や修正、調整などを行って行きたいと思います。

今回は先ずシリンダーヘッドから作業を取りかかりました。

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EX側のカムシャフトに0.05mmの振れがあったり、カム山に凹みや虫食いがあったので

バルブ、バルブスプリングなどを取り外した状態でカムシャフト、カムホルダーを規定トルク

で締め付けてスムースに回転するかの確認とプラスチゲージを用いてクリアランスを測定。

カムシャフトの振れはサービスリミットが0.05mmとなってはいます。

ですが、新品は手に入らないし中古部品でも状態の良い物に巡り会えるかも解らないので

点検をして問題がなければ、そのまま使用した方が安全です。

幸いにしてクリアランスも回転も問題なくクリア出来たので、凹んでいる部分のみバリ取りを

して、カムシャフト自体は摺動性の向上を狙うため只今、WPC処理中です。

カムシャフトへのWPCの場合は表面硬度の向上よりは摺動性のために行います。

カムシャフトがOKだったので、お次はHead Portingです。

アルファベットで書くと何となくカッコ良く見えるのは私だけでしょうか?(笑)

こういった物は言葉で綴るよりも写真の方が解りやすいと思うので写真で紹介させて頂きます。

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元の状態はこの通り。

カーボンの蓄積がスゴイと思われるかも知れませんが、ほとんどの車両がこの様な

状態でして高熱にさらされていることも重なりかなり落とすのは一苦労です。

エアリューターを使用して削り取っていくのですが、リモーションで行うポーティングは

あくまでもバリを取り除きスムースな吸入を行えるようにするために行っているので、

極力ポートの拡大はしないようにしています。

むやみにポートを拡大してしまうと流速が落ちてしまったりするので混合気の充填効率が

低下することもあるのです。例えるならばキャブレターと一緒ですね。

FCRなどに交換する際に一番口径の大きい物を選びがちですが、低回転域では流速が上がらず

乗りにくくなってしまうのと一緒です。

サーキット走行やトップエンド付近を多用する人で無い限りは一番口径の小さい物(キャブ)を

取り付けた方が乗っていて快適です。

いつも微妙に話がそれる私ですが、軌道修正してポーティングの続き・・・

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最近はポートを削るための砥石が、かなり細いものまで簡単に手に入れる事ができるので

隅々まで作業が出来てしまうので、やたら時間が掛かるようになりました。

またレースの世界なんかだとバルブガイドも削ってしまい抵抗を少なくすることも有るのですが

公道走行を意識しているので耐久性を重視してバルブガイドは削らないように注意します。

写真の状態になるまでには一日削りっぱなしでやっと終わるかんじです。

カーボンも綺麗に落ちて表面も滑らかになったヘッドは正直ウットリする感じですが、エンジンを

組んでしまうと見えなくなるのが、ちょっと残念でなりません・・・。

なのでこうして撮りためた写真データはCDに焼いてお客様にお渡ししています。

なかなか自分のバイクのエンジンを見る機会はないので、写真データは喜んで頂いています。

タイミングさえ合えば実際に見ることも可能なんですけどね。

ヘッドポーティングが終わったらお次は・・・バルブポリッシュですね!!

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こちらも頑固なカーボンがもっさりと・・・

ちなみにバルブはIN側とEX側では使用されている材質が異なりましてEX側の方が

高温になるため熱に強くとても硬質な材になります。

そのためEXバルブはカーボンを落としたあとのポリッシュ加工に時間がかかります。

EXバルブだと1本当たり15~20分くらいですが、INバルブは約10分で終わります。

なのでいつもEXバルブから作業をすることにしています。

その方がINバルブに取りかかるとサクサク作業が進んでいるような錯覚になるため気持ち的に

楽なんですね。どっちから初めても終了する時間は変わらないけど精神的に感じる時間の流れは

大分違ってきます。でも私、夏休みの宿題はギリギリまでやらないタイプでした(汗)。

休憩もいれつつ5時間ほど経過すると・・・

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こちらも綺麗になりました。

削っている時には摩擦熱によりかなりの高温になるのですが、今回も何度か熱いバルブに

触れてしまいまして指先を火傷してしましました。

革手袋とかをすれば防げるのですが、微妙な感覚を感じるには素手が一番なんですよね。

人間の触覚って結構するどい感覚なんですね。0.1mm以下でも段差とか解りますからね^^ 

ここまでの作業が終わるとオーバーホールも折り返し地点に入ります。

あとはミッションにシフトフィーリングを良くする加工をしたりオイルポンプなどのクリアランス測定

そしてバリ取りベアリング交換などなどと続いて行きます。

これを書いている段階ではここまでの作業が終わっており、これからミッション関係の作業に

入るので続きはまた後日に書いて行きたいと思います。

次回。Vol’3もこうご期待!!

では、また・・・