CB750Fインテグラ E/Gフルオーバーホール

10月のツーリングが雨により中止になりまして

『ほうとう』を食いそびれた菅野です。

温かくて美味しい物が食べたい・・・

さあ本題に戻りまして、今回もCB750Fのフルオーバーホールになります。

では、どうぞ・・・

今回、ご紹介させて頂く車両はCB750Fインテグラになりまして、東京都S様からのご依頼です。

最近は若者のバイク離れ(自動車もらしいが・・・)などが目立っていますが、S様はなんと!!

20代のお客様なのです。生まれる前に生産されたバイクをとても大事にして一生乗りたいと

言うその言葉に作業する私としても気合いが入ります。

こちらの車両は残念ながら走行中にエンジンストップということで依頼を受けまして

車両の引き取りからスタートしました。

750といえどもインテグラはフロントカウルのお陰で車重があるので、お客様にもお手伝い

頂いてトラックに積み込みました。

店に戻りエンジンの状態を確認!!

ACGカバーを取り外してクランキングを試みるも同じところで回転が止まるので、どうやら

バルブとピストンが当たっている様子。

その為、事前のデータ取りも無いままエンジンを降ろしてバラしにかかります。

2010101701.JPG 2010101702.JPG

2010101703.JPG
2010101704.JPG

テンショナーBにはスライダー部分にクラックが入りスプリングチューブは硬化して

ひび割れて今にも砕けそうな状態でした。

2010101705.JPG
2010101706.JPG
2010101707.JPG

通常は腰上をバラしてから腰下に取りかかるのですが、こちらのエンジンはヘッドが全く外れません

バーナーで炙っても・・・ハンマーで叩いても・・・ビクともしない・・・

なのでセオリーとは違いますけどヘッドを取り外すのは後回しにして腰下からバラしました。

2010101708.JPG
2010101709.JPG

オイルパンにもクランクケース内にも至る所にアルミの削りカスが飛び散っていました。

そしてケースが割れたら・・・折れたカムチェンガイドが出てきました。

2010101710.JPG
2010101711.JPG
2010101712.JPG

2010101713.JPG 2010101714.JPG

ケースまで分解出来たところでヘッドの取り外しに戻ります。

どうして外れにくくなってしまうかと言うとスタッドボルトとヘッド、シリンダーの隙間に

砂やサビが詰まってしまうから抜けなくなります。

エンジンを前方から覗くとスタッドボルトが見えるかと思いますが、その見えているスタッド

ボルトとエンジンとの隙間に砂などが入り込み固着させてしまいます。

無理に叩いたりして力任せに外そうとするとフィンが欠けたりエンジン自体を歪ませてしまう

可能性もあるため、今回はスタッドボルトを抜き取る事にしました。

12本のうち9本は簡単に取り外す事ができましたが、3本の固着が酷いためスタッドボルト

上部にナットを溶接してケースをバーナーで炙りながらブレーカーバーを使ってなんとか

取り外す事ができました。(750でここまで外れなかったのは初めてです)

同じようにEXのスタッドボルトもポート加工のために抜き取りますが、8本のうち6本が

取り外すときに折れたので、ナットを溶接して取り外すことになりました。

ここまでバラしてみた結果、今回のエンジンストップの原因はテンショナーガイドが折れたために

カムチェンの張りがなくなりカムギヤからチェンが外れてしまいカムシャフトが回らなくなったために

エンジンがストップしてしまったようです。

しかしクランクシャフトの回転は止まらないので、バルブとピストンが接触して#1,#2の

EXバルブ4本が曲がっていました。

2010101715.JPG
2010101716.JPG
2010101717.JPG

2010101718.JPG
2010101719.JPG
2010101720.JPG

2010101721.JPG
2010101722.JPG

バルブが曲がってしまった割にはバルブガイドの損傷は無かったので、バルブ4本の交換で

済みました。ピストンクリアランスがメーカーリミットの0.10mmだったからなのか

燃焼室にはカーボンの蓄積が通常より多かった様に思いました。(オイル上がりが原因でしょう)

クランクシャフトに関してはFシリーズでは曲がっているものは今までに有りませんでしたね。

だいたい0.01~0.02mmくらいと修正の必要がない程度の物ばかり・・・

今回もバランスのみで、修正なしです。

ちなみにCBXだと曲がっていない物がないくらいで、修正率はかなり高いです。

ここからは、部品ごとにさらに細かく点検してバリ取りや修正、重量合わせなどを施して行きます。

カムチェンガイドの折損によりアルミの削りカスが至る所に入り込んでいるので、洗浄はいつも

以上に念入りに行います。

2010101723.JPG
2010101724.JPG
2010101725.JPG

2010101726.JPG
2010101727.JPG

メタル選定も行いますが、記号だけで会わせると誤差が生じるので全てプラスチゲージで測定して

メタルを選びます。メタル選定が終わったらコンロッドの重量合わせ。

20101023092.JPG
20101023093.JPG

その後、クランクケースも念入りに洗浄して金属片が完全に無くなるまで洗浄!!

ひたすら洗浄です。ここで手を抜くと全てが無駄になる可能性もありますからね。 

洗浄後にはスタッドボルトを取り付けて組立開始です。

20101023097.JPG
20101023098.JPG
20101023100.JPG

20101023103.JPG
20101023109.JPG
20101023111.JPG

20101023113.JPG
20101023114.JPG

20101102122.JPG
201011020123.JPG 

毎度ですが修正や洗浄などが完了している状態であれば組立はとっても早く終わります。

今回はエンジンオーバーホールに伴いキャブレターと点火系も一新致しました。

点火系には信頼性の高くリモーションでも使用頻度が高い『ASウオタニ』!!

フルパワーキットを組み込みキャブレターはCRスペシャルに換装しました。

オーバーホールした直後なので高回転のセッティングがまだまだですが、慣らしが完了したら

再度、入庫して頂きセッティングをバッチリ出したいと思います。

次にはCB1100Fのオーバーホール予約が入っているので次回は・・・たぶん・・・

1100Fの報告になるかと思います。

その前にも何かあれば・・・とは考えてます。

では、また・・・